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どうしても未来に残したい二つの歌 2016年11月01日(TUE)

  人が生きるとき、多くの人からの影響を受けます。人と自分がぶつかり、二人の間にギャップができて、良い人間関係では、お互いにエネルギーが注がれます。

私もこれまでに色々な人と出会い、本当にお世話になってきました。自分がしたことよりもはるかに多くのものを、大勢の人からいただいたと思っています。

出会いがなければ人はなかなか成長できるものではありません。

その中でもとくに影響を受けた人が三人います。最初の一人は森田正馬氏です。森田療法を構築した博士で、実際に会ったことはありませんが、その著書に触れて、生き方の根本を知りました。

影響を受ける人はたくさんいますが、森田正馬氏から学んだ基本は、何があっても変化することがない、私の基本のものとなっています。

二人目の重要な出会いは、歌人の故中島宝城先生です。本日は中島先生のお歌をご紹介いたします。

中島先生からは、日本語について、母音と生命について、さらに披講と言霊について、20年の歳月の中で深く学ばせていただきました。

振動と倍音への関心、そしてチューナーへのアクションの大本には、中島宝城先生とのご縁があります。

中島宝城先生は歌人であり、歌の作り方についても、独特の観点から深く学ばせていただきました。先生はうお座でしたが、あいまいなものをお嫌いになり、相手が本当にそれを理解してくれたかどうか、、、先生独特の見方と直観によって、判断されていたと思います。

どんな立場の人に対しても、真実をゆがめることなく、はっきりとものをおっしゃいました。中島先生との交際なくして、歌への関心も、言葉への関心も、母音も倍音も周波数の世界にも、私は触れることはなかったと思います。

先生は短歌の上達には、歌を特定の誰に向けてつくるのか、、、ということが大切であるとおっしゃる。特定の相手、すなわち実在の誰かに向けて歌はつくるものだというのです。 

コミュニケーションということです。そうでないと決して上達しないと。コミュニケーションとしての歌、それはついに発声そのものまで行く構造を持ちます。

言葉をも超えたうめき、、、慟哭、、、母音の存在。そこに命のありようを思われる、本物の原始的感性をお持ちの歌人でした。

先生がお作りになられた歌二首を本日は動画にてご紹介させていただきます。素晴らしい歌であり、どうしても後世に残したい歌なのです。

本物の歌手が歌えば、もっともっと素晴らしいのですが、版権などもあるため、私が歌っています。下手は覚悟でしたが、歌の内容をどうぞお聞きください。

そして、感じる方がいらっしゃいましたら、ぜひ、歌ってください。そして色々な場所で歌っていただけたらこんなにうれしいことはありません。

本当に素晴らしい歌なんです。中島先生は、ふっと私にこう言ったことがあります。「私は木や花に話しかければ、本当に会話ができると思うんです」と。70をはるかに過ぎたご高齢の男性の会話でもあり、驚いた記憶が鮮明に残っています。

純粋な芸術家だったのです。


最初の歌は、「父母よ」です。作詞 中島宝城 作曲 渡邉浦人

1 父母よ 遠き昔の風車 思い致せば 廻り候ふ
2 流れ星 消えゆく際の 束の間の 幼き祈り 如何になりけむ
3 たまひたす 矢部の川瀬に 釣りし日よ せせらぎ未だ 止まず聞こゆる
4 病みて我が 呼ぶ声とのみ こほろぎを 聞き給う父 優しかりけり
5 我が母を 送りゆきたる 故郷の 筑後の野辺の
霞悲しも
6 故郷の 麦の畑は 青からむ 雲雀の空は 眩しかるらむ

二首目の歌は 「谷ぐく」 作詞 中島宝城 作曲 芝祐靖  (谷ぐくのぐくは正しくは漢字です)

1 飛鳥なる平田の字の 陵の 祭りのさなか 谷ぐくは鳴く
2 楽の音の高まりゆきて 高殿の棟に 吊りたる灯火揺れぬ
3 我が歌は 谷ぐくの歌 あかねさす 君が調べは
高殿の風

以上、二つの歌を歌っています。日本の歌謡史に残る名曲だと思います。どうぞ歌う機会をお持ちになってくだされば幸いです。

さて三人目の私にとっての重要な出会いは、飯島秀行先生です。土橋先生とのご縁を通して出合うことができましたが、飯島先生と出合うことで、これまで実践してきたことに整合性を得ることができました。

飯島先生のことはこれまでもブログに書いてきましたし、またこれからも書かせていただくことが多くなると思います。

人生は一人では何もできないし、気づけない気がします。出合うことによって、私たちは変化し、成長していきます。本日は三人の人との出会いを、自分の場合で振り返ってみました。

そして、中島先生の歌をみなさんにお聞きいただけたらと思います。



 




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